38時間、起きてたらこうなる
娘が床についても毎晩2、3時間おきの夜泣きが毎晩続いた。
娘の夜泣きは、生後6か月~5歳になるまで続いた。
それに加え、私は夜勤もこなしていた。
人手不足から、夜勤の数も増えていく。
病棟の患者様はいつ急変状態になってもおかしくない方ばかり。
モニターを装着している患者様も多く、人工呼吸器の患者様もいた。
夜中眠らず徘徊し、廊下に排泄したり、
ベッド上での脱衣行為、尿失禁、便汚染、高熱患者様への薬対応など、常に歩きっぱなし。
そのため、夜勤中は仮眠などできない。
本当に激務である。
夜勤の入り、明けで、38時間程起きていた。
家事、育児、患者様の対応、全てに力を注いだ。
看護師の仕事は、実際に働いてみるとかなりの体力を要する。
病気の患者様を支える立場であるが、看護師が病気になってしまうほどの仕事内容である。
先輩達は、愚痴や体調を崩しているという話ばかり。
ある人が休めば、その人の悪口を言い合う。そんな環境で毎日働いていた。
自分の性格上、患者様の前ではもちろん、職員の前でも常に笑顔でいよう。
そんなポリシーを常に持っていた。
亡くなった祖母が言っていた・・・
「女はしゃしゃり出て話をするもんじゃない」
「愚痴は言ってはいけない」
「なるべく悪い環境には自ら入っていかないようにしなさい」と・・・
その言葉を胸に、実行し続けた。
その結果、周りからは
「いつも笑顔で本当にすごいよね。愚痴とか言ったことないでしょ?怒ったこととかある?子供にも怒ったことなさそうだよね」
自分の評価はいいものだった。
でも、自分だって笑わないことだって、愚痴を言うことだってある。
子供なんか、毎日機嫌が悪くて言うことも聞いてくれないし危険な行動に走るので、毎日怒っていた。
その毎日のイライラが旦那に対してもひどくなっていった。
職場で素の自分を見せられないのは、社会人として組織で働くにおいて、
その場の感情で喜怒哀楽を出すべきではない。
そう思っているからだ。
逆に、喜怒哀楽の激しい人、感情のままで仕事をしている人が、自分にとっては不思議でたまらなかった。
先輩たちのどんな要求に対しても、常に笑顔で対応した。
このように行動することが正しい。
みんなは間違っている。
自分は輝いている。
そう思っていた。
しかし、徐々に体が悲鳴を上げていく。
仕事をしていると、子供の突発的な高熱、その他ノロウイルスやアデノなどで仕事を休まなければならない時が出てくる。
気軽に休みます、すみません。と言いたいところであるが、それができない。
自分の性格上、自分が休むことで周りに迷惑がかかる。
絶対に休めない。
そういう考えを常に持っていた。
大切な子供の高熱を心配しながらも、常に思っていた。
仕事に対する真面目な性格が、結局自分の心を縛り付けていた。
職場にマウンティング女子が一人いた。
上司に対して機嫌を取り、弱い者に対して態度をゴロっと変える。
細かい所まで注意をしてくる。
後輩のいる前でも自分に対して大声と怖い表情で指摘してくる。
上司のいない場所での自分への見下した態度がエスカレートしていき、喜怒哀楽の激しさに徐々に息が詰まるようになっていった。
娘が4歳になった頃だった。
朝、背中に突然激痛が走り、起き上がれなくなった。
軽度の寝返りも打てない。
歯を食いしばってやっとの思いで起き上がれる程・・・尋常でない痛みだった。
これはただ事ではない。
初めてのことで本当に死ぬかと思った。
旦那も心配し、絶対今日は休んだほうがいいと言われた。
しかし、人手不足のことを考えると、自分が休むわけにはいかない。
自分は絶対大丈夫、なんとかなる。激痛が走るけれど、前には屈むことができるから、大丈夫。
旦那に話をし、そう自分にも言い聞かせた。激痛に耐えながら働いた。
今思えば、本当によく働けたよなと思う。
その日の仕事帰りに整形外科受診をするも、異常がなかった。ヘルニアの危険性もないとのこと。
一体何が原因なのかも分からず。
このままでこの激痛は治るのか、不安でたまらなかった。
薬をもらったが、一向によくならない。
違う病院で再受診し、強い痛み止めとコルセットを装着することになった。
コルセットを装着し、仕事は1日も休まず働いた。
激痛が治まったのは2週間後だった。
一体あの激痛はなんだったんだろう。その疑問ばかりが頭を駆け巡っていた。
そんな日々の中でも娘の夜泣きは変わらなかった。
治まるどころか、両足を地面に叩きつけ、ばた狂い号泣することも続いた。
暴れる力が凄い上、とにかく泣き叫ぶ声がひどく、この時に声掛けしても全く効かず
抱っこをしても、何をしても効果がない。
ただ、泣き止むのを待つしかない。
言葉にならない辛さがあった。
一緒に泣いていた日もあった。
どうしてこんなに娘は育てにくいんだろう。いつもそのような考えしかなかった。
でも、夜泣きというよりもうパニックになっているようにしか見えなかった。
自分も不眠症になっていたため、夜中に起きては娘の異常さは何なのか、検索してしまう。
明日も仕事というのに。。。